ウェブ版血管炎病理アトラスについて

血管炎の診断における病理所見の重要性は高い。しかしながら、その希少性から、標準的な教科書に割かれるページは少なく、血管炎を専門としていない病理医や臨床医が、その特徴を十分に把握するのは難しい。こうした問題点を解決するために、厚生労働省難治性疾患等政策研究事業「難治性血管炎に関する調査研究班」の病理分科会が中心となって平成16 年度に作成した『血管炎アトラス』は、わが国における血管炎病理アトラスの金字塔といえる。

『血管炎アトラス』は、刊行以来、血管炎診療に大いに役立ってきたばかりでなく、若手医師・研究者が血管炎に興味を持つきっかけにもなってきた。その立ち位置は、刊行から10 年を経た現在も変わることはないが、今日までの間に国際的な血管炎の分類が改訂され、新たな疾患概念も取り入れられるなど、血管炎のフィールドには変化が生じてきた。そこで、平成26 年度に発足した「難治性血管炎に関する調査研究班」臨床病理分科会が中心となって、新たな血管炎フィールドにも対応できるよう、『血管炎アトラス』の病理項目を改訂することとした。改訂にあたり、掲載する疾患はChapel Hill Consensus Conference 2012 分類(CHCC2012 分類)に準拠すること、CHCC2012 分類では取り上げられていない血管炎類縁疾患も掲載すること、インターネット環境が整っていればいつでもだれでも閲覧できるようウェブ版とすることに留意した。

執筆は、『血管炎アトラス』の執筆者に引き続きお願いするとともに、現在この分野で活躍中の気鋭の病理医、臨床医にもお願いした。各疾患の特徴的な所見と説明が的確にまとめられており、血管炎病理像の集大成に仕上がっていると思う。この『ウェブ版血管炎病理アトラス』が第一線で活用され、血管炎診療の一助となることを願うとともに、医学生や若手医師・研究者の血管炎に対する理解を深め、その中からひとりでも多く血管炎の病因病態解明、疾病の克服に取り組む医師・研究者が現れることを願っている。

平成28年3月31日

厚生労働省難治性疾患等政策研究事業
難治性血管炎に関する調査研究班
臨床病理分科会長 石津 明洋

血管炎各疾患の解説
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